手作りドッグフードだからできること

ドッグフードを手作りで与えることは、メリットもあればデメリットもあります。
生半可な知識で手作りフードを与えてしまうと、栄養の偏りなどから重篤な病気を引き起こしてしまう可能性があります。

手作り食は安全面に関しては素晴らしいですが、リスクの高い一面も持ち合わせています。
市販のドッグフードには時々、目も覆いたくなるような粗悪な原材料や危険な添加物が使用されていることがありますが、それでもそれを常食し、きちんと天寿を全うしたわんちゃんもたくさんいます。
どんなに安価な商品であっても、生きるのに必要な栄養分は最低限含まれているからです。
逆に手作りの場合、どれほど良質な素材を使っていても、栄養が偏ってしまえばすぐに病気や体調不良となって表れます。
アレルギーなどの大きな問題がなければ、手作りにこだわらずとも、安全なドッグフードを選んで与えても良いのではないかと思います。

しかし「手作りドッグフードだからできること」はたくさんあります。
市販品では出来ない、手作りならではのメリットを紹介していきます。

食材調達から調理まで自らの手で行うことができる 

手作りドッグフードの何よりのメリットは、その安全性です。
既製品の場合、どんなに質のいいものでも加工品である以上添加物が含まれていたり、調理工程の全てを目にすることはできません。
しかしその点手作りであれば、材料調達から調理に至るまで、すべて飼い主さんの監視のもと行うことができます。
調理してからすぐに食べさせるので、保存料などの余計な添加物を使う必要がありません。
市販品のドッグフードでは、そういった安全性が疑われるために、手作りに切り替えたという飼い主さんも多いのではないでしょうか。

愛犬のために材料から自らの手で選び、こだわることができるのは、手作りドッグフードの何よりの強みといえるでしょう。

加工品にはない成分を取り入れることができる

犬が生きていく上で必要な栄養素は、炭水化物・脂質・タンパク質・ビタミン・ミネラル・水です。
市販品のドッグフードにはこれら(水分は除く)がバランスよく含まれていますが、実はこれらの栄養素以外にも、わんちゃんの健康を支えるうえ大切な物質があります。

そのひとつが、酵素です。
酵素は、消化吸収や呼吸、血液の循環、傷や病気の治癒などを行うために必要な物質で、食べ物からエネルギーを取り出すのも酵素の働きによるものです。
つまり酵素は、生命維持のために欠かせないものといえます。

そんな酵素ですが、実は市販品のドッグフードにはほとんど含まれていません。
なぜなら、酵素は46~48度の加熱で壊れてしまうからです。
市販のドッグフードは加工品ですので、ドライフードであってもウェットフードであっても、一度は火を通してあるものがほとんどです。
そこで手作り食を与える際に、酵素が豊富に含まれる生の緑黄色野菜や果物を混ぜてあげると、手軽に酵素を摂ることができます。
しかし犬は、あまりこういったものの消化が得意ではないので、みじん切りにしたりミキサーにかけるなど、食べやすくなるように工夫をしてあげましょう。
発酵食品にも酵素が含まれていますので、少量の味噌や納豆を加えてあげてもあげてもい良いかもしれません。
とはいえ、犬によっては苦手な食材もあるので、よく注意することが必要です。

このように、摂りたい栄養素や物質をピンポイントで取り入れることができるのも、手作りドッグフードの強みです。

体調・体質に合わせて臨機応変に対応できる

人間と同じように、わんちゃんの体質や健康状態は、個体によって様々です。
当然ながら、全く同じ犬など一匹もいません。
自身の愛犬の体質やその日の体調に合った食事が出せるのも、手作りドッグフードの大きな魅力です。

例えば特定の食べ物にアレルギーがある子ならば、その食べ物を避けてごはんを作ればよいことになります。
アレルゲンが複数ある場合、それらがすべて含まれていないドッグフードを探すのは至難の業かもしれませんし、むしろそちらのほうが手間がかかったり、費用が高くつくケースもあります。
そういった際は手作り食にすることで、安全にアレルギー対策をすることができます。

また、病気で療法食(療養食)が必要な場合も、手作りのドッグフードが良い効果を発揮することがあります。
肥満対策や消化器官サポートのあるもの、糖尿病の犬向けのものなど、様々な病気に対応したドッグフードが売られていますが、病状はそれぞれです。
特定の栄養を摂らなくてはいけない、または摂ってはいけない子もいます。
手作りのドッグフードならば、病状だけでなくその日の体調に合わせて微調整が可能です。

こういった臨機応変な対応ができることは、わんちゃんの健康維持につながるでしょう。

苦手な食べ物を把握しやすい

手作りドッグフードのメリットのひとつに、「苦手な食べ物や成分を把握しやすい」というものがあります。

例えば既製品のドッグフードを与えていてアレルギーや消化不良を起こした場合、「ドッグフードに問題があったのだろうか」と大まかに原因を絞ることは可能です。
しかし、市販品には様々な材料だけでなく添加物なども数多く含まれていますので、具体的にどの食材がいけなかったのかを特定することは困難になります。
手作りドッグフードの場合は、よほど材料やメニューを頻繁に変えていない限りは、ある程度原因となる食べ物を絞ることができます。

また、市販のドッグフードでアレルギー反応が出るなどの不具合が生じた場合、残ったフードは廃棄するか譲るかしなければなりませんが、手作りの場合は該当の食材を使用しなければいい話なので、損失が少なくて済みます。

犬との愛情を深め合うことができる

犬に食事を作って与えてあげることは、犬と人とのコミュニケーションの手段としても有効です。

もちろん、既製品を与えている飼い主さんの愛情が、手作りをしている人に比べて劣っているわけではありません。
しかしごはんを手作りして与えることで、自然とわんちゃんの食生活に関心がわき、気にかけたり、よく観察するようになることが多いです。

例えば愛犬のために手間暇をかけてごはんを作れば、当然その食いつきも気になってくると思います。
既製品のフードを与えていた時はそのまま放置していたとしても、その時ばかりはワンちゃんが食べ終わるまで、じっと見つめてしまうかもしれません。
ワンちゃんがごはんを完食して嬉しそうにしてくれれば、こちらも嬉しくなりますよね。
次も食べてもらえるように、もっと喜んでもらえるように工夫したくなる飼い主さんもいると思います。
あまり食いつきが良くなければ、苦手な材料かもしれないと目星をつけることもできます。
そうやって愛犬についての理解を深めることができ、愛情も深まっていくことでしょう。

また、手作り食を続けていくと、決まった時間に台所に立つとごはんができると判断して、喜んで近づいてくるわんちゃんも出てくると思います。
そんな愛犬に材料の一部を与えたり、「待て」をさせたりするのも、犬と人との間の立派なコミュニケーションです。
そういったコミュニケーションの中から、互いに信頼関係築いていくことができるはずです。

とはいえ、飼い主さんによってライフスタイルや生活事情は様々だと思います。
朝の忙しい時間や、疲れて帰ってきた夜に手作り食を作らなければならないとなれば、大きな負担になってしまいます。
ワンちゃんを元気にするつもりで手作り食を始めたのに、飼い主さんがストレスを感じてしまっては本末転倒です。
犬は人の感情を敏感に察知します。
飼い主さんがイライラしていれば、それは犬にとってもストレスになってしまうのです。
無理のない範囲で、手作り食を導入するようにしましょう。

何も、全食一から手作りする必要はありません。
むしろ時々市販品を食べさせてあげることで、災害時や旅行時など、手作りで食べさせるのが難しいときにも、ドライフードを問題なく食べてくれるようになります。

例えば、忙しい平日は市販のドッグフード、ゆとりのある休日は手作り食など、飼い主さんの事情に合わせて分けても良いですし、ドライフードの上にスープや野菜をトッピングしてもよいと思います。

手作りではないから、わんちゃんへの愛情が足りないというようなことは決してありません。
たとえ既製品を与えていたとしても、愛犬の健康を願って選んだのであれば、そこに差が生じることはありません。
ですので「絶対に手作り食」「既製品でないと栄養面が心配」などと、どちらか一方にこだわりすぎず、柔軟に対応していくことが大切です。

手作りならではの強みはたくさんあります。
特に安心感と柔軟性は、市販のフードではかなわないものがあります。
正しく与えていれば、わんちゃんの健康を守るだけではなく、飼い主さんとの信頼関係を築くための強い味方となってくれるでしょう。

しかしそれは、きちんと必要な栄養を把握した上での話ですので、手作り食に移行するためにはまず、飼い主さんがしっかりと勉強することが大切です。
手作り食に変えたことで、犬への愛情が深まったり、信頼関係が築けるようになったとしても、勉強不足によって肝心のわんちゃんの健康を害してしまっては、それらは瞬時に「ただの自己満足」へと変貌してしまいます。

そうならないようにまずは基礎から、正しい知識を得る努力をしましょう。